


食べ物をくさりにくくする!お砂糖の不思議
食べ物をくさりにくくする!お砂糖の不思議

イチゴをたくさんもらったんだけど、食べきれなくてこまっているんだ。

ジャムにすれば長持ちするから、いっしょに作ろうよ!

いいね!でもなんでジャムにすると、長持ちするんだろう?

実は、お砂糖には食べ物をくさりにくくするパワーがあるのじゃ。

お砂糖にそんなパワーもあるんだ!テンじい、くわしく教えてー
食べ物はなぜくさるの?
みんなは、食べ物がくさる原因を知っていますか?
食べ物がくさる原因は、みんなの身のまわりにいる「細きん」や「カビ」のしわざです。細きんやカビが食べ物に付いて、それを栄養にしながら仲間を増やし、食べ物を分解してしまうことを「食べ物がくさる」といいます。
この細きんやカビは、あたたかくて水分があるところで増えやすく、反対に、冷たくて乾いたところでは活動がにぶくなります。
食べ物をすぐに冷ぞう庫に入れたり、乾かしたりするのは、細きんやカビが苦手な環境にして、くさりにくくするためなんですね。
お砂糖を入れると、なぜくさりにくいの?
でも、ジャムも水分が多い食品ですよね。それでもくさりにくくて長持ちするヒミツは、水分の種類にあるんです。食べ物にふくまれる水分は、大きく分けると「自由水」と「結合水」の2つがあります。
自由水 | 凍ったり、蒸発したり、細きんやカビがふえるのに利用される。 |
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結合水 | 食品中の水分とくっついてる水分。細きんやカビに利用されない。 |
つまり、自由水が多い食べ物はくさりやすく、結合水が多いとくさりにくくなります。
ジャムにかくされたお砂糖パワー
お砂糖には、「水分を抱えこんで、なかなか離さないチカラ」があります。
ジャムの場合は、果物に多くのお砂糖を入れて作ります。このときにお砂糖の「水分を抱えこむパワー」で、果物の中の水分とお砂糖がくっついて「結合水」になり、細きんやカビが 増えるのをおさえることができます。
また食品が凍るために必要な自由水が少ないので、ジャムは凍らないんですよ。
ジャムを開けた後は早めに使おう!

ビンを開けたあとは、ジャムが空気にふれてしまい、そこからカビや細きんが増えてしまうこともあります。
そのため、お砂糖のパワーでくさりにくいからといっても、安心はできません。ジャムを開けたあとは、すぐフタをしめて冷ぞう庫で保存し、早めに使いましょう。

ジャムがとろとろになるお砂糖の不思議「ペクチン」

ジャムといえば、あまーい味と、トロトロの「とろみ」が特ちょう。お砂糖はジャムにあまさをプラスするだけでなく、とろみをつけるのにも役立っているよ。 ジャムのとろみは、果物の中に含まれる「ペクチン」がもと。このペクチンがお砂糖と果物などの酸と合わさって加熱されると、とろとろに変化(ゲル化)するのです。 果物のジャムをつくるときに加えるお砂糖は、果物の50~70%程度。お砂糖をあまり使いたくないからと控えすぎると、レモン汁や市販のペクチンを加えても固まらなくなるので注意してね。

ジャムやようかんのようにお砂糖をたくさん使った食べ物がくさりにくいのは、お砂糖が食べ物の中の水分を 抱えこむチカラのおかげ!細きんやカビが増えるのに利用する水分が少なくなるんだ。
ジャムづくりにお砂糖をたくさん入れる理由は、甘さをプラスする他に、ジャムをくさりにくくしたり、ペクチンの変化を助けてジャムにとろみをつけるために必要だからだよ。
《参考文献》
石永正隆ほか(2007)『食品学・食品機能学』(テキスト食物と栄養学シリーズ3) 朝倉書店
医療情報科学研究所編(2019)『レビューブック管理栄養士2020』メディックメディア
内田豊・佐野寿和・斎藤祥治(2010)『砂糖入門』(食品知識ミニブックスシリーズ)日本食糧新聞社
橋本仁・高田明和編(2006) 『砂糖の科学』(シリーズ《食品の科学》) 朝倉書店
日高秀昌・岸原士郎・斎藤祥治編(2009)『砂糖の辞典』東京堂出版